2016/2/19 昔

先週は20℃を超える暖かい日が数日。
一度暖かい陽射しを味わうと益々春が恋しくなる。
早く暖かくならんかなぁ…

そう言えば、先日歯磨きをしていると娘が洗面所へ走って来てこんな質問をしてきた。
「ねぇ昔はもう来ないの?」
僕は質問の意味が分からず歯磨きをしながら
「ん…なんて?」ときき返す。
「もう昔にはならんと?」
暫く考えた僕の解釈は、娘は昔が何か季節のように巡ってくるものだと思っているんだ。
そう考え回答を捻り出す。
「昔って言うのはねぇ、昨日とか明日みたいなもんよ、昨日はもう来んやろ」
娘「…昔は色がないんやろ?」

娘はTVやスチールで観る「昔」が白黒だったので世の中には色が無かったんだと思っているらしかった。

僕「昔も色はあったとよ。写真に色がついてないだけよ。」
娘「…なんで?」

ん…いい質問です。「なんで?」

「なんで写真に色がついて無かったか?それはね映像の技術っていうかテクノロジーが…」

僕が説明に苦慮していると娘は何事も無かったかの様にその場を立ち去っていった。

「昔」と言う概念を子供に分かりやすく説明する事が出来なかった僕は、歯ブラシを口に咥え中腰の姿勢をキープしたまま自分の不甲斐なさを実感していた。

人に伝える難しさはスタジオでも襲ってくる。
演奏の途中に違和感を覚える部分や、ノリの違いを修正する為にメンバーへその感覚を伝え修正を試みるが…
伝える技術が僕に備わっていない。

ギリギリまで表現したい世界、生み出したい世界に妥協せずメンバーを追い詰める作業。
申し訳ないが成長のない演奏なら僕にとっては何の意味もないんだ。
ワンステージ、ワンステージをストイックな状況で挑み人として演者として幅を持ちたい。
聴いてくれる人に「また聴きたい」そう思わせる事を実現出来なければ、この道楽の先は見えている。
学芸会の延長線上にあるステージを見せられるほどオーディエンスにとって苦痛な時間はないはずだ。

まぁ苦しいけど…仕方ない気もする。
僕が表現したいのは平和な世の中はボーっとしてたら誰かが維持してくれる、そう勘違いしている世界ではないから…

自分達が苦しんで神経擦り減らして、必死の思いで作り上げた時に見えてくる「感動」

さて精進あるのみ。
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